
病院で会計の際、現金が足りず、クレジットカードも使えないためにATMに走った経験がある方は多いのではないでしょうか。病院は予定外の治療で思ったより高額になることも多く、キャッシュレス決済は患者のニーズが高そうに思いますが、なぜ普及していないのでしょうか。この記事では病院でクレジットカードはなぜ使えないのか、理由を調査しました。
病院でクレジットカードが使えない?
病院でクレジットカードが使えないという話はよく聞きますね。
クレジットカードを利用した決済の導入状況について聞いたところ、「導入している」が62.6%、「導入を 検討している」が1.5%、「導入していない」が35.9%となっている。
(引用:厚生労働省)
クレジットカードがすべての医療機関で使えないというわけではありませんでした。ただ、これは病院(入院用ベッド20床以上)の調査です。入院設備がないクリニックを含めると普及率は下がりますので、病院はクレジットカードが使えないという印象になってしまうかもしれません。
病院でクレジットカードはなぜ使えないことが多い?
病院でクレジットカードがなぜ使えないのか、理由はいくつか考えられます。
患者のニーズが高くないと思われているから
患者のほとんどが高齢者であるような場合、現金支払いで済むことが多いです。また、入院や手術がないクリニックなどでは保険診療だとそこまで高額にはならないので、患者側も多額の現金を用意する必要はあまりないと思われます。そのような医療機関では、患者側もクレジットカードが使えなくてもそこまで不便には思わないのではないかと考えられているようです。
不妊治療や美容整形、人間ドッグなどの自由診療を扱うところでは、支払いが高額になることが多く、キャッシュレス決済ができる可能性が比較的高いと思われます。
導入に手間がかかるから
キャッシュレス決済の端末の導入には数十万円かかることがあり、それがネックになっている場合もあります。
医療機器には高額なものが多いです。それらの修理や購入が続いてしまった時期などは、決済端末のための資金は用意できないかもしれません。特に小規模な医療機関では資金繰りが難しいことがあり、導入のタイミングが難しくなります。キャッシュレス決済のメリットがあまり大きくないところだと、わざわざ導入しなくてもよいと考えてしまうのではないでしょうか。
手数料を取られるから
クレジットカード会社に3%ほどの手数料を払わなくてはならない場合もあり、それが経営を圧迫してしまいそうな場合は導入を諦めることがあります。
この手数料は患者負担額の3%なので、実際の医療費から計算すると、保険診療の場合はそこまで高額ではないようにも見えます。ただ、患者からキャッシュレス決済の要望が聞かれない場合は、わざわざ手数料を払ってまで導入するメリットは少ないと考えるようです。
入金のタイミングが遅いから
クレジットカードのようなキャッシュレス決済だと、ある程度の期間の支払いが後日まとめて入金されることになります。現金払いであれば、患者からその場で現金を受け取ることができますね。資金繰りが厳しい医療機関にとっては現金払いのメリットがとても大きいので、キャッシュレス決済を導入することができなくなってしまいます。
病院でのキャッシュレスは進まない?
病院でキャッシュレスが進まない理由はいくつもありますが、キャッシュレス決済は患者にもスタッフにもメリットが多いです。特に現金を持たずに受診してしまうことが多い外国人旅行者や救急患者は、キャッシュレス決済でなければ支払えない場合もあります。世間でもキャッシュレス決済の普及率がどんどん上がっていますし、できる病院はこれから増えていくと思われます。
キャッシュレス決済のメリット
- 現金を持ち歩いていない人の医療費の未払いが減る
- お釣りの数え間違いトラブルを防げる
- 窓口で大量の小銭を用意しなくてよくなる
会計窓口では、お釣りのために大量に小銭を用意しています。さらに院内では会計のほか、自動販売機や駐車券の精算機など、お金が必要な場面は意外と多いです。それらが新札に対応しているか、旧札はいつまで使えるかなどによって両替や交換が必要なところもあり、現金を大量にストックしています。それが途中で足りなくなると業務がストップし、患者のクレームにも繋がるため、小銭の用意は意外と大変です。
キャッシュレス決済普及のために
実際にキャッシュレス決済を普及させるための取組も増えてきています。例えば、手数料がネックとなり導入していなかった医療機関向けに、手数料が安くなるサービスが登場しているようです。
クレジットカード利用においては端末費用、導入費用及び月額の利用料を無料とし、決済手数料率はVISA関連1.50%、JCB関連も低手数料率で、電子マネーも別途オプションで追加することを可能としています
(引用:日医on-line)
今後はクレジットカードが使える病院がどんどん増えていくのではないでしょうか。
クレジットカードが使える病院はどこ?
クレジットカードが使えるかどうかは、運営している医療法人によります。なので、ホームページや窓口などでの確認が必要です。
大規模な病院や高齢の患者が少ないクリニック、外国人旅行者が多い地域ではクレジットカードが使えるところが多くなってきています。そのほか、自由診療が充実している医療機関や、開院したばかりのところはクレジットカード以外のキャッシュレス決済も使える可能性が高いのではないでしょうか。また、救急病院では急な受診となり現金を持ち合わせていない患者も多いため、比較的使える可能性が高いようです。
まとめ
病院でクレジットカードがなぜ使えないのか、理由はいくつかあり、小規模な医療機関にとってはキャッシュレス決済導入のハードルが高いです。高齢の患者が多いなど、キャッシュレス決済のメリットが少ない場合もあり、現時点で導入しない意向の病院も多いと思われます。ただ、世間でのキャッシュレス決済の普及に伴って、今後は対応している病院が増えていくのではないでしょうか。